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「西郷どん」といえば西南戦争、そして激戦地田原坂
NHKの大河ドラマ「西郷どん」の放送が始まりました。西郷さんといえば、西南戦争です。熊本県民としては、田原坂がまず思い浮かびます。今でこそ、のどかな田園風景が広がっていますが、かつてこの地で薩摩軍と官軍の間で激しい戦闘が繰り広げられました。
西南戦争は、明治政府の急激な西洋化に反発した薩摩出身の武士たちが明治10年に起こした日本最後の内戦です。戦いは熊本、大分、宮崎、鹿児島の4県にまたがり約7ヶ月におよびました。
政府軍6万人、薩摩軍3万人が動員され、両軍合わせて約1万4千人が犠牲になりました。そして、日本が武士の時代に幕を降ろし、近代化への大きな転換点となった戦争です。
地域の名物として「官軍めし」と「薩軍めし」を再現
以前、所用で玉東町のJR木葉駅で降り立ったときのことです。「交流サロンこのは」と看板がかかった待合室のようなスペースに、西南戦争の際に薩軍兵士と官軍兵士が食べた弁当の模型が展示してありました。
2011年ごろから、西南戦争の激戦地として地域の名物を開発しようと、玉東町商工会などが当時の軍隊の弁当を再現。現在も「薩軍めし」「官軍めし」として販売しているのです。地元のイベントなどで販売されることが多いようですが、個別にも購入できるので、いつか機会があれば食べてみたいものだと思いました。
そして、「西郷どん」の放映開始。これは、食べるなら今だろうと思い、ローカルメディアくまきゅーの中野さんをお誘いして、「薩軍めし」と「官軍めし」を実際に味わってみることにしました。1人ではさすがに2つの弁当を食べるのは厳しそうだからです。
駅前にはやはり、「西郷どんゆかり地」と書いたのぼり旗がありました。実は、玉東町は2019年の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」の主人公であるマラソンランナー、金栗四三さんゆかりの玉名市の隣町なのです。機会があればこちらも取材したいです。
弁当の予約は商工会に3日前までに
「薩軍めし」「官軍めし」を購入する場合、準備の都合があるため、玉東町商工会(0968-85-2174)に3日前までに予約が必要です。予約を受けた商工会が、地元の仕出し屋さんやお寿司やさんに弁当を発注されます。予約の際に、商工会から受け取りについて説明があります。
今回は、「薩軍めし」がイムタさんに、
官軍めしが豊寿司さんに、いずれも10時から11時の間に受け取りに行くように案内がありました。
一の坂、二の坂、三の坂を登る
弁当を受け取った後は、玉東町から田原坂西南戦争資料館を目指します。官軍の兵士が熊本城に籠城する味方の応援に駆けつけるため、重たい砲台を押して登ったという坂。当時は砲台を運べる大きな道はここしかなかったのです。
これを阻止しようと薩軍兵士が迎え撃ち、激しい戦闘が起きたのです。
田原坂を丘の上まで登り、見下ろした三の坂一帯。
記念公園で慰霊碑に圧倒される
記念公園には慰霊碑があり、薩軍、官軍の犠牲者の名前が刻まれていました。
西南戦争の激戦を思いながら弁当タイム
展望台から田原坂一帯が展望できます。向こう側の丘の上に官軍の砲台が設置され、こちらに陣取った薩軍を攻撃したそうです。
展望台のベンチに、「薩軍めし」と「官軍めし」を並べてみました。お値段はどちらも1つ800円(税込み)です。
まずは、「西郷どん」に敬意を表して薩軍めしからオープン。薩軍に関しては、弁当の記録があまり残っていないため、各地に残る伝承を元に再現しています。敗走する薩軍が腰に下げていたといわれる鹿児島名産「あくまき」を元に竹の皮でもち米を包んだ「鬼拳(おにこぶし)」がメインです。
鬼拳(おにこぶし)2つとナス、サツマイモのてんぷらなどをサイドメニューに入っています。小魚やこんにゃくやゴボウの煮物も。
鬼拳は、ちまきのようにもっちりしていました。高菜や鶏肉、しいたけなどが入っていました。
続いて官軍めしをオープン。政府軍(官軍)第一旅団会計部長・川口武定が書いた「従征日記」には、戦時の食事情を垣間見ることができます。記録が残っているため、薩軍めしよりもより当時の弁当を正確に再現していると言えるでしょう。
「従征日記」には、兵士の士気を高める為、軍中の不便な折、調達や調理方法等、大変気を使っていたようです。また、「陣中煮しめ」など様々な非常食が考えだされたことも記されています。
1合の精米を丸いおにぎりにした「団飯(だんぱん)」。梅干しや味噌を中にいれて、二つを1包として兵士に支給されていた-という記録を元に再現しています。さすがに2合は食べきれないという声から、おにぎりは一つになっているそうです。
おかずも充実していたという記録があります。実際は、紙や藁に包んで運搬・提供されていたようです。おかずは小魚の甘露煮、高野豆腐、ローストビーフ、煮物やきんぴらごぼうなど、確かに充実しています。
資料館の入場者も増えていた
熊本日日新聞によると、「西郷どん」の影響で、田原坂西南戦争資料館の入場者が増えているそうです。この日も団体客の姿がありました。
「西郷どん」人気で来場者急増 熊本市の田原坂西南戦争資料館(熊本日日新聞)
熊本市北区植木町の田原坂西南戦争資料館は、NHK大河ドラマ「西郷[せご]どん」の影響で、今年に入り県外からの観光客らでにぎわっている。例年、春と秋は修学旅行なども多いが、冬場は来館者も減る傾向にあるという。今年は「西郷どん」の初回放送(1月7日)後、ほぼ毎日、団体客の予約が入っている状態。昨年1月の有料入場者が744人だったのに対し、今年1月は2683人。約3・6倍に増えた。
壮絶な砲弾の打ち合いを実感する「弾痕の家」
西南戦争当時の写真から復元された、「弾痕の家」が砲撃のすさまじさを物語っています。資料館のすぐ前にあります。
施設情報
■田原坂西南戦争資料館
■開館時間 9時から17時(入館は16時半まで)
■休館日 12月29日から翌年1月3日まで
■入館料 一般(高校生以上)個人 300円 団体(20人以上)240円
小・中学生 個人 100円 団体(20人以上) 80円
■問い合わせ 096ー272ー4982
官軍めし、薩軍めしの予約は玉東町商工会(0968-85-2174)へ。
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