夏目漱石の「草枕」に登場する「峠の茶屋」跡を路線バスで訪ねてみた

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

スポンサードリンク

「我輩は猫である」「坊ちゃん」などの著者、夏目漱石は第五高等学校(現在の熊本大学)の教師として熊本県に住んでいた時期がありました。

そのころの体験を基に書かれたのが「草枕」です。次の書き出しが良く知られています。

山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画が出来る。

2つの「峠」と「茶屋」

主人公の画家は、歩いて峠を越えて、小天温泉がモデルと思われる温泉宿に宿泊します。その途中で、峠の茶屋に立ち寄るシーンが有名です。

峠の茶屋バス停

峠の茶屋のバス停

夏目漱石が越えた峠は鳥越野出の二カ所があり、小説に登場するのは野出の方の茶屋ではないかという説もあります。草枕で、主人公が「峠の茶屋」を訪れる描写はこうです。

「おい」と声を掛けたが返事がない。軒下から奥を覗くと煤けた障子が立て切ってある。向う側は見えない。五六足の草鞋が淋しそうに庇から吊されて、屈托気にふらりふらりと揺れる。下に駄菓子の箱が三つばかり並んで、そばに五厘銭と文久銭が散らばっている。「おい」とまた声をかける。土間の隅に片寄せてある臼の上に、ふくれていた鶏が、驚ろいて眼をさます。ククク、クククと騒ぎ出す。敷居の外に土竈が、今しがたの雨に濡れて、半分ほど色が変ってる上に、真黒な茶釜がかけてあるが、土の茶釜か、銀の茶釜かわからない。幸い下は焚きつけてある。

今回は、熊本市内から近く、路線バスも通っている鳥越の峠の茶屋を訪ねてみました。片道約20分なので、夏目漱石の熱烈なファンでなくても、熊本観光のついでに気軽に立ち寄れます。

直行バスなら20分

「峠の茶屋」までバスで行くには2つの方法があります。1つ目は、河内温泉行きのバスに乗り、バス停「峠の茶屋」で下車する行き方。もう1つは2.5キロほど離れた「荒尾橋」というバス停で降りた後、漱石も歩いた「草枕の道」を30分ほど歩くかです。

直接「峠の茶屋」へ行くバスは、1日6往復しかありませんが、荒尾橋行きの路線は1時間に2本程度運行しています。

時間がある方には、行きは本数の少ない直行便を使い、帰りは「荒尾橋」まで草枕の道を30分ほど歩いてから、バスに乗るコースをお勧めします。

坂道を歩くのが辛いという方は、峠の茶屋跡を見学したり「だご汁や」でだご汁を食べたりしてゆっくりして、帰りの直行バスを待つのもよいでしょう。

桜町バスセンターから峠の茶屋へ

2019年9月、熊本市の中心部に新しい「桜町バスターミナル」が開業しました。峠の茶屋へ直行するバスは、20番乗り場から発車する「河内温泉行き」です。

桜町20番ホーム

鳥越の峠の茶屋へ直行するバスが出る、桜町バスターミナルの20番乗り場

河内温泉行きの行き先表示

バスに乗り込む人たち

9月14日はバスが無料だったので、お客さんも多め

バスは、しばらく市街地を走った後、本妙寺の下を通って山中に入って行きます。

峠の茶屋公園前」では下車せず、いったん一つ先の「峠の茶屋」まで行ってから降りました。

峠の茶屋のバス停

峠の茶屋で降車。バスを見送る

バスを降りて振り返ると、青空が広がっていました。

峠の茶屋

少し歩くと、商店があります。

峠の茶屋

いかにも「峠の茶屋」っぽい場所にあるお店です。これまでに洒落で「おい!」と声をかけた人が絶対にいると思います。

峠の茶屋の商店

峠の茶屋にある商店

峠の茶屋公園の資料館は休館中

バス停を一つ歩いて戻ると、峠の茶屋公園がありました。

峠の茶屋公園のバス停

峠の茶屋公園のバス停

峠の茶屋公園の看板

駐車場とトイレもあります。

駐車場

駐車場の一角には、かつてこの辺りで盛んだった樟脳作りに使われたという大釜が置いてありました。

大釜

公園の案内板

峠の茶屋をイメージした、だご汁やがありました。今回は時間の都合で食べられませんでした。いつか食べに来たいと思います。

だご汁や

峠の茶屋の雰囲気が出ていますね。

だご汁や

旧道沿いにある「峠の茶屋」跡

公園の近くに「草枕の道」という案内板が。こちらが、夏目漱石も歩いたかつての旧道なのでしょう。

草枕の道

この道の先には資料館がありました。

峠の茶屋資料館

峠の茶屋資料館

資料館は、改修工事のため残念ながら2020年の3月末までお休みです。

休館の案内

資料館のすぐ近くに、峠の茶屋があった跡地の碑がありました。

峠の茶屋跡

峠の茶屋の跡地の碑

古井戸の跡もありました。ここの水をくんで入れたお茶を夏目漱石も飲んだのかもしれません。

古井戸

茶屋跡は草枕の道沿いにあります。

茶屋跡の全景

草枕の道

「草枕の道」を歩いて下山

行きに乗ったバスが戻ってくるまでには1時間以上あったので、「草枕の道」を下って「荒尾橋」まで歩くことにしました。

ツクツクボウシや野鳥の鳴き声が聞こえます。木々が覆う道は少し涼しくて心地よかったです。

草枕の道

あちこちに案内板が設置してありました。

草枕の道

途中、熊本市中心部が見下ろせました。夏目漱石もこの風景を見たのかもしれません。

金峰山から望む熊本市

草枕の道

草枕の道

「荒尾橋」から帰りのバスに乗る

峠の茶屋公園を出て、30分ほど歩くと、荒尾橋のバス停が見えてきました。ここから先は住宅街になっていて、バスの本数も多いのです。

今回はちょうどバスが出たばかりだったので、少し先のバス停まで歩いてからバスに乗りました。15分ほどで桜町バスターミナルに到着しました。

荒尾橋バス停

「鳥越の峠の茶屋」の各種情報

所在地 〒861-5344 熊本市西区河内町岳5-4

問合せ 096-277-2157(資料館)

定休日 資料館 火曜(祝日の場合は翌日)、12月29日~1月3日

     売店 火曜(祝日の場合は翌日)、12月31日~1月1日

営業時間 資料館9時00分~17時00分

      売店10時30分~17時00分

駐車場 12台(無料)

アクセス ■JR熊本駅から:車で約20分

     ■交通センターから:車で約20分、バスで約25分 峠の茶屋公園前下車すぐ

     ■九州自動車道熊本インターから車で約40分

※熊本市観光政策課HP参照


スポンサードリンク

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

カレンダー

2019年10月
« 9月    
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  
ページ上部へ戻る